業種:製造業、売上:80億、社員数:300名
幹部研修 (1年間/全12回)
松尾 淳一
ご支援前、どのような課題をお持ちだったか
カリスマ経営者の影響が強く後継者の育成ができない
70代のカリスマ型社長を中心とした経営で、良くも悪くもトップダウン方式で会社の方針を決めていた。社長を含む役員の高齢化もあり、今後の事業承継を見据えて現在の体制を変換する必要性を認識していた。事業の売上げは堅調だったが高度経済成長時に拡大した老舗企業のため、業務のデジタル化など現代の時流に適応仕切れていない部分が多々あった。若手社員は旧態依然とした社の価値観についていけない者が多く、徐々に離職率が上がっていった。また、中途採用の即戦力社員も会社の風土に馴染めずになかなか定着せず、気づけば社員の平均年齢が50代となっていた。
ヒアリングを経て見つけた「本質的な課題」とは?
本質的な課題は、社長を含め創業当時の幹部社員が時代に合わせて変える必要があると自覚しながら、同時に「これまでやってきたことを否定することになる」という固定観念があり、ドラスティックな改革ができずにいたこと。また、経営においてはカリスマ型社長の感覚的な経営に依存しており、ビジョンの言語化、方針決定のフロー化といった組織の行動基準を明確に定めていなかった。
課題解決のためにご提案したプロセス、TODOの全体像
まずは1年をかけて、じっくり事業承継の文化を醸成させる土台作りが必要と説得。その後12回に渡りオリジナルで作成した「守るべきものを守り、変えるべきものを変える研修」を提案。組織論や経営方式について、コンサルティングとして正しい考え方を一方的に伝えるのではなく、現社長の考え方や想いの部分を尊重し、寄り添いながら時代に合わせて変えていかないといけない部分を「アップデート」するための研修をコーディネートした。
具体的にどのような研修を実施したか
理念・ビジョン策定、行動基準策定、組織の役割基準見直し、目標管理制度作り、幹部用セルフマネジメント研修など。常に経営者、管理職、一般社員の視点で研修を実施し、その都度しっかりコミュニケーションをとりながら理解度、浸透度をみて内容を最適化していった。次の世代へバトンを渡していくことをイメージしてもらい、文化醸成につながる研修になるような雰囲気作りを重視した。全12回の研修は、独立した内容をツギハギして実施することはせず、それぞれに連動性を持たせて応用が利くようにした。
研修実施後の成果とお客様の声
世代間のコミュニケーションが円滑になり、次代の社長へ事業承継がスムーズにできた。
ベテランの管理職社員を中心に新社長を支えるチームが自発的に結成され、その後も若い世代の社員が続々幹部へ立候補するようになった。その結果、インターネットを活用した新規事業の立ち上げにつながり、若手社員のモチベーションが向上している。そのほか、先代では思いつかない発想で休眠顧客の掘り起こしに成功した事業所や、売上げが2倍になった事業所が現れるようになった。